コンテナ基盤ビジネス成功の鍵
This is a summary of a talk I gave in Tokyo about building and scaling a container-based platform.
こんにちは、スコットです。今回は、コンテナ基盤のビジネスを構築する上で重要となる点について、私がコンテナを活用する会社で得た経験と、現在のコンサルティング経験に基づいてお話したいと思います。
私の経験:PANTHEONでの学び
私は昨年アメリカから来日し、クラウド企業の顧客にカスタマーサクセス、サポート、ビジネス戦略のコンサルティングを提供するアストロコラッサルを設立しました。17年間テクノロジーとWeb制作に携わり、日本に来る前は開発プラットフォーム企業PANTHEONの副社長を務めていました。
PANTHEONはDocker登場の2年前、2010年に創業しました。創業当初はDrupalというオープンソースCMSを利用する企業や大学向けに、カスタマイズ開発とホスティングインフラの構築を行っていました。EconomistやYale大学のような大規模Drupalサイトのインフラを手がけ、カリフォルニア大学バークレー校からの依頼をきっかけに、クラウドプラットフォーム上でPANTHEONの初期バージョンを開発しました。2011年には投資を受け、VMの使用をやめてコンテナを導入しました。現在では100人以上の従業員を抱え、20万以上のサイトで利用され、100万以上のコンテナが稼働しています。
PANTHEONでは、すべてのサイトにDev, Test, Liveの3つの環境を提供し、GITブランチからも迅速に環境を構築できます。アプリケーションとデータベースのコンテナで構築された分散システムにより、アプリケーションコンテナの追加が容易で、スケーラブルなインフラを提供しています。systemdを活用することで、リクエストがない場合はスリープ状態になり、ハードウェア費用を大幅に削減しています。コンテナの導入により、高品質なサービス提供と会社の成長を実現しました。
顧客との関係性の改善とミッションの策定
サービス開始当初、コンテナが本番環境での実績が少ない技術であったため、ダウンタイムが多く、多くのクレームや解約が発生しました。技術的な改善はもちろんのこと、顧客に技術の価値をどのように伝えるか社内で見直し、問題を解決していきました。
この頃、テクノロジーそのものよりも、顧客がサービスを通じて得られる「価値」が重要であると認識し始めました。そこで、顧客向けのミッションを策定しました。
- 顧客がPANTHEONを利用して優れたサイトを構築し、管理すること
- 顧客がより効率的に、より早く制作を終えること
- リスクを減らすこと
これらのミッションに基づき、顧客のチーム向けの機能を開発し、現在でも新しい機能開発の基準となっています。
顧客対象の絞り込みと学び
私たちは顧客の対象をAgencyに絞り込み、彼らのサービス利用方法やニーズを徹底的に研究しました。Agencyというペルソナにサービスを集中させた結果、そのペルソナ以外の企業の内部ウェブチームもサービスに価値を見出し、ユーザー増加につながりました。
この経験から、PANTHEONはコンテナ基盤のビジネスを構築する上で最も重要なことを学びました。
- 顧客の業界を理解すること
- その業界の人々がどのような価値を得たいのかを理解すること
- 技術を提供するだけでなく、使いやすさを大切にし、共に良いユーザーエクスペリエンスを創造すること
スタートアップであろうと、一会社員であろうと、コンテナの技術的な側面に囚われず、まず「価値」について考えることが成功への鍵となります。